四谷荒木町は入り組んだ路地が魅力的で、モダンな東京というよりレトロな東京だと感じました。今回はそのレトロなものと新しいものの融合を意識しています。
若い方がメインターゲットになるかとは思いますが、シニアの方が断捨離をして単身で住むというスタイルも合うのではないかと。ですから尖ったデザインというよりは少し落ち着いた佇まいにしています。
外観は建物を外から見上げた時のことを意識して、大きなスクエアの窓をリズミカルに並べました。そこから間接照明のやわらかな灯りが外へとこぼれるのも特徴です。オランダのアムステルダムの集合住宅みたいに、窓から生活をほんの少し垣間見せたくなるような、開放感を感じてもらえるのではないでしょうか。
また、防犯性の高い内開きの扉やエアコン等の機器を目立たないようにする工夫など細部へのこだわりを数多く施しています。
今回に限らずですが、空間が完成した後に住まう人の生活シーンがどう展開されるかをイメージして取り組むのが私の一貫したスタンスです。どこにどんな家具を置けば良いかまでを想定して設計しています。部屋の雰囲気を壊すことのないよう、住まう人の持ち込む家具を最小限にするため、収納の占めるボリュームを多くしました。
幅広い年齢層の方々に、私たち創る側のポリシーと自分らしさの掛け合わせを楽しんで欲しいですね。