Architect Mitsuo Ichimura
建築家 市 村 光 雄
【PROFILE】
1969年、東北大学工学部建築学科を卒業。1971年に同大学の修士課程を終了後、菊竹清訓建築設計事務所にて東光園新館や沖縄海洋博の設計などを担当。その後、建築制作室の設立や日本大学理工学部講師などを経て1987年にKAI都市・建築研究所を設立。近年は「春日駅前プロジェクト」や「シエント武蔵小杉」を手掛けるなど、常に新たな挑戦を織りこんだ建築を生み出し続けている。
Design concept
高輪という街は、昔からある坂や豊かな緑といった“時間の堆積”が非常に感じられます。今回の立地も、かつては江戸湾を望めた坂道に面する穏やかな場所です。そのような背景から「サイレント」をコンセプトに、新しい坂道の風景となる建物としました。
外観はコンクリート打ち放し、白い漆喰調の壁面や黒い金属サッシやガラスといった無機質な素材と共に、軒天井(バルコニー裏面)にはあえて木を使用しています。シャープなデザインの中にも温かみや深みが感じられるのではないでしょうか。アプローチも黒い石調タイルの壁面やグレイッシュな木格子といった落ち着いた空間なのですが、一変してエントランスの床は真っ白です。別世界に入ったかのような驚きや感動と気持ちの切り替わりを感じてもらえたらと思いますね。
また室内は、柱や梁の凹凸のない非常に開放的でゆとりある空間としています。なかでも天井一杯の大開口に連続する大型ルーフバルコニーのプランは格別です。植栽とロングベンチを配し、周辺の穏やかな環境を感じられるプランニングとなっています。インテリアもニュートラルなグレーを基調としたLUXE、MODERN、COOLという3種類のカラーを使用し、落ち着きある心地よさを感じてもらえるはずです。都心の中でも恵まれた静けさを感じながら、穏やかな時の流れを楽しんでいただきたいですね。
Works
GOOD DESIGN AWARD 2016
The TriBeCa