モデリア/投資用収益物件の企画・開発/Modelia

Modelia Colors WAKAMATSUCHO 2016/10
概要 シェアハウス(22室)
所在地 東京都新宿区若松町
敷地面積 323.03平米
延床面積 760.04平米
竣工 2016年10月

コンバージョン×シェアハウス モデリア新プロジェクト開発ストーリー(前編)
なぜ新築ではないのか。なぜシェアハウスなのか。なぜそれをモデリアが手掛けるのか。
コンセプトを持ったデザイン性の高い賃貸マンションを数々手掛けてきたモデリアが初めて挑んだシェアハウス。
その誕生までの軌跡を追います。
建築家  佐々木 龍一/奥村 梨枝子 PHOTO
建築家  佐々木 龍一/奥村 梨枝子 PHOTO
建築家  佐々木 龍一/奥村 梨枝子 PHOTO

EPISODE3:シェアハウスをデザインする

嗜好によるグルーピング
――モデリア初のシェアハウスとして、どういったコンセプトで
  設計されたのでしょうか?
郷内「まず普通のシェアハウスはやりたくなかった。どこにでもあるシェアハウスなら、モデリアがやる意味がない。『共同生活をデザインするとはどういう事なのか?』そこがまず軸としてありました」
佐々木「外観からは、一階の窓から緑、二階は青に見えるようになっています。窓自体に色がついているわけではなく、部屋の壁の色が外へと色を放っているように見える仕掛けです」
奥村「外壁にはその他にステンレスも使っています。ステンレス部分は光が反射したり、映り込みがあったりとか、ぼやかしがあったりと、建物全体のアクセントになっています」
――緑や青には何か意図が込められているのでしょうか?
佐々木「一階は大地に近いことで緑、二階は空に近いので青の配色を選びました。色だけではなく、一番基本的な幾何学形態である円と正方形をデザインモチーフとしています。一階は円、二階は正方形を多用しています。共用部の照明からソファ、洗面所の形だったり時計の形だったりをそれぞれ正方形や円として展開しています。部屋を選ぶのに近い思考の人達が集まるのではと。それぞれグリーンが好きな人、ブルーが好きな人、円と正方形の形でもグルーピングされるようになっています。その手がかりとなるデザインを設定しています」
郷内「ニュートラルな色の部屋も用意しています。カラフルな部屋に住みたい人と落ち着いた部屋に住みたい人で選べるようになっています。ただの白い箱が金太郎飴のようにならんでいるのではなく、メリハリのある選択肢があり、各部屋が顔を持っているんです。各個室にもバリエーションを持たせ、選ぶ楽しみを提供したいと考えています」
――色や形以外でも何か仕掛けがなされていますか?
佐々木「地下の共用スペースは線をテーマにしています。メッシュ状の天井に垂直のライン照明が取り付けているのが大きな特徴になっています」
奥村「ラインの向きにも意味を考えていて、縦向きはアクティブで横向きの方が静かな印象を与える仕掛けになっています」
郷内「ここはもともと天井の高さが3メートルと高いわけです。テーマとしてせっかく3メートルの天井を低くする手はなく、できるだけ高く残したい。とは言えここは生活の場だから、そのままだと倉庫みたいに感じてしまいます。その答えとして、バランス良く調和させるためのメッシュの天井なんです」
佐々木「地下は交流スペースです。照明の密度がアクティビティの手がかりになるようにゆるやかにゾーニングしています。照明の数が多いゾーンには人が集まりやすいダイニングテーブルが置かれ、照明の数が少ないゾーンでも照明の配置がくつろぐスペースの手がかりとなります」
コンバージョン×シェアハウス モデリア新プロジェクト開発ストーリー イメージ

EPISODE4:ここから生まれる交流

交流がメインではないシェアハウス
――シェアハウスは他の住人と交流をしたいという思いが強い人が多く集まるかと思うのですが、ここではどのような交流が生まれると想定していますか?
佐々木「シェアハウスと言うと常に交流がしたい人のイメージがあるかと思いますが、コンスタントに交流したい人ばかりではないのではないか。時には個室で自らと向き合うことがあったり、交流したい時は地下へ降りていって人とふれ合うことができる。この仕組みは、1階2階をプライベートルームにして地下をパブリックスペースにすることで実現しました」
郷内「よくあるシェアハウスは例えば古い寮があってこれを如何にコストをかけずに収益が得られる建物にできるかが重視されていて、とりあえずキレイにして小さな部屋を作ってというのが多いですね。そういったシェアハウスはプライベートゾーンとパブリックゾーンが混在している。常に人と会うというのは時としてわずらわしいと思うことがでてきます。パブリックゾーンを通らなくても部屋に行ける。交流は自然発生的に起きるものだという考え方ですね」
――いわゆる雑多な人が集まるシェアハウスとは住む人が違うというか、ある程度近しい人が集まるということを想定されているのでしょうか?
佐々木「感性が似ている人が多くなるのではないかと。交流や発見も他とは変わってくると考えています。ゴージャスなシェアハウスもありますが、そういうところは交流がメインになっているがここは違う」
米光「デザイナーズマンションに住む人はキレイに使ってくれる人が多い。反社会勢力的な人も少ないし、ルールを守れない人が少ない。いい入居者が集まり易いです。ただ華美にしたり高級にすると俺が俺がといった自己中心的な人まで集まってしまう」
郷内「簡単に言えば大人のためのシェアハウスってことですね。入居のハードルは高く、ルールの自由度は高い」
奥村「ここでは静かな交流ができたらいいなと思っています。思考とか文化とかを大事にしたいですね。小さな交流の多発が起きたらいいなと」
――建築家のお二人は欧米での生活経験があるので今回のシェアハウスにも、何か海外のシェアハウスの要素が込められていたりするのでしょうか?
佐々木「海外でハウスメイトと共に住んだ経験もありますが、欧米の何かを取り入れているというよりは、今回作ったのは欧米にもない今までの日本にもないものです。公共空間に住んでいる感覚ですね」
奥村「欧米のシェアハウスでの生活を見て思うのは、彼らは家で軽くご飯を食べて街に出てカフェだったりで飲みながら交流をすることが多いです。今回のシェアハウスでは、一人でご飯を食べて、共用スペースで誰かと食後の1~2時間交流して、また部屋に戻って自分の世界に入っていくってことができると思います」
郷内「こんな大きなスクリーンで映画を観たり、こんな大きなアイランドキッチンでわいわいと料理を作ったりということもワンルームマンションでは実現できない。この違いは明確にあると思います。小上がりの畳スペースも床でゴロゴロするといった、ワンルームマンションではできないこともできる。22部屋しかないので、この広い空間を贅沢に使えます」
佐々木「広い共用スペースにいても、iPadやMacBookなどを使って自分の世界に没頭するなどプライバシーの確立した行動が同時多発的に発生することも想定しています」
奥村「スタバがサードプレイスと言われているように、この共用スペースもそんなイメージですかね」
ここにしかない体験を求めて
佐々木「今回のプロジェクトは、さまざまな実験的な試みを行いました」
奥村「シェアハウスというより、コンバインという感覚は他にはないものだと思っています」
郷内「自分の娘を一人暮らしさせるなら、こういうところに住まわせると安心できるなという発想がありました。ただカッコいいだけではないし、雑多な人が集まって交流が出来るというのがウリなわけでもない。ここでしか出来ない体験をぜひ楽しんでもらいたいですね」
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