UNIT [S.A.A.O]
コラボレーションとして2012年の商業空間を皮切りに、現在まで8件を手掛けています。二人の明確な役割分担を作らず、その都度スタイルから築き上げる形をとっています。お互いが刺激を与え合い化学変化を起こすことで、決して一人では創造しえなかったクリエイティビティを発揮できるのがこのユニットの強みです。
建築家 佐々木 龍一
1970年、東京都に生まれる。1994年にイリノイ工科大学建築学科卒、1995年にコロンビア大学大学院修士。卒業後はニューヨークAsymptote
Architecture、久米設計を経て株式会社佐々木設計事務所に入所し、2006年から同代表取締役。SDレビュー入選、リーフ賞入選、ICONIC賞、イギリスARアワード入賞、ドイツデザイン賞、グッドデザイン賞など多数受賞。一級建築士・米国建築家協会Associate会員・日本建築家協会会員・日本建築学会会員。
建築家 奥村 梨枝子
1977年、大阪に生まれる。小学校をベルギー・ブラッセル、高校生活をオーストラリア・シドニーで過ごす。2000年、津田塾大学卒業。2009年、武蔵野美術大学卒業。メーカーやゼネコンで勤務の後、2011年から個人事業として活動。2014年にATELIER
O
一級建築士事務所を設立。欧州リーフ賞入選、ICONIC賞、ドイツデザイン賞など多数受賞。一級建築士・宅地建物取引主任者・武蔵野美術大学非常勤講師。
モデリアシリーズで私たちが手掛けた中延と護国寺に引き続き『正方形のフィルターを通してどう街をつくっていくか』を共通のテーマとしています。ファサードは、コンクリートに杉板型枠で木目をつけた溝へ正方形の窓を埋め込み、それらをランダムに配置することで、いかに浮遊感を出すかということに苦心しました。なぜ窓にこんなにもこだわっているかというと、窓も重要なデザインのアイコンであると捉えているからです。室内からこの窓を見ると、インテリアのひとつであるかのようなアクセントを与えてくれます。さらに外からは、照明が灯されたときにリズムのある窓の灯りが並び、人々の暮らす街並みのようにも感じてもらえるのではないでしょうか。
また、今回アプローチにも力を入れています。江戸時代の古地図によるとかつて神楽坂は普通の坂ではなく、いくつかの段差のある坂だったようです。そこからヒントを得て、緩やかな階段のアプローチを経て建物に入る設計としました。綺麗な鈍い輝きのある瓦タイルを石畳状に敷くことで、より街との親和性を強めています。このアプローチ全体がひとつのエントランスという考え方です。フランスの方も多く住み和のイメージだけでない神楽坂という東京でも特殊な街と、スクエアのエレメントとの調和を楽しみながら暮らしてもらえればと思っています。