建築家 木 下 道 郎
【PROFILE】
□1951年、神戸市に生まれる。□1975年に横浜国立大学建築学科を卒業。□1978年、大学院修士課程を経て、共同でワークショップを設立。東京建築士会住宅賞やディスプレイ産業奨励賞など数々の入賞を果たす。□1995年、有限会社木下道郎ワークショップを設立し代表取締役に就任。近年も「Modelia
Brut
代々木上原」（2012年）でグッドデザイン賞を受賞するなど、常に新しい着想で建築に挑戦し続け活躍。□2004年より日本大学生産工学部非常勤講師を務め、次世代を担う建築家の育成にも力を注いでいる。
もともと Court Modelia OMOTESANDO
を造った時にコンセプトとして「建物全体がひとつの都市」であるということを掲げていました。そして、今回隣接する場所にANNEXを建てることでこの都市がより広がったと言えます。だから別々の建物ではなく、ひとつの建物として捉えていただきたいですね。これによって周辺の街全体にも良い影響を与えていくのではないでしょうか。建築家は自己表現で造るのではなく、街や時間のコンテクストを考慮して建物を含めた周辺の街全体のことを考える姿勢が大事だからです。特に建物の脇を通る小径の魅力が大きく、周辺にゆとりを生んで明るく開けた印象を与えてくれます。また、奥へ行くほどそこに住まう人だけが使用できるステイタスもあります。その小径から地下への大階段を象徴として、ANNEXでは室内の壁に取り付けた浮遊感のある階段や玄関からリビングへのアプローチ階段など「階段」が大きな特長となっています。その他にもダイニングからバルコニーへと続くカウンターや足元に間接照明を施したベッドルームにもなる小上がりスペースなど盛りだくさんの演出を施しました。
Court Modelia OMOTESANDO
の中でもまさに隠れ家のような特別な別館といった存在です。この「非日常的な日常」を、東京生活上級者の方にぜひ住みこなしてもらいたいですね。
